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平成21年3月議会 本会議・討論
【 平成20年 3月 定例会(第1回)-03月25日-04号 】
(芦屋市HP 芦屋市議会会議録検索 より転載)
◆9番(中島かおり君) =登壇=会派イーブンを代表いたしまして、第40号議案、財産の処分について、賛成の立場から討論いたします。
今回のこの議案は、財産の処分ということではありますが、それだけにとどまらず、(仮称)芦屋市福祉センター建設に向けてということで、民生文教常任委員会に付託され、審査されたところです。
福祉センター建設ということだけの議論にとどまるのであるならば、そもそも賛否が分かれることはなかったかもしれません。しかし、今回は市有地を売却して、相手方が建設した施設建築物を芦屋市が借り受けて、福祉センター事業を行う。平成5年に約36億円で購入したものを、今回の18億1,851万2,000円という契約金額で売却することに最初のひっかかりがあるのは、皆さん同じであろうと推察します。
当局が用意した経費比較によると、芦屋市が独自で建設する場合、土地は償還が終わる平成33年度までには44億9,700万円、建物は償還が終わる平成52年度までには36億4,900万円、合計81億4,600万円との試算が出され、財団から借り受けた場合の経費との比較をしています。が、市単独での事業は無理なので、今回のこの手法しかないとのこと、福祉センター事業を行わなかった場合の起債償還金もあわせて示されていますが、さきの委員会での山中市長の答弁をかりれば、十何年も、保健・医療・福祉で市民に親しまれる、愛される、地域福祉の拠点として、ぜひとも、いかなる形でも欲しいと思って取り組んできた中で、こういう話が来た、どんな条件でものむというかたい信念で、このセンターをあの場所でこしらえたいという願いがあり、話を前向きに進めてきたということですから、センター事業を行わないという選択肢はあり得ないのです。
結局は、市の持ち出しとなる金額が少なければ、あるいは、持ち出しがなければ問題はなかったのでしょう。しかし、今の社会、経済、財政状況を見ても無理というものです。
予算的なことに関して、(仮称)芦屋市福祉センター経費比較の資料と、これまでの当局からの説明だけでは、最初のひっかかりをクリアするには不十分でした。このことが、私たち議員の悲劇となったと言わざるを得ません。
この議案に反対の立場の方々も、福祉センター建設に反対するものではないと発言されています。また、税制改正、公益法人制度改革の議論がかなり先行して、地域福祉の拠点としてのセンターのソフトの部分に対しての議論が足らなかったように感じることからも、公益認定等に関する運用について、ガイドラインが決定してからでもよいのではないかという意見も理解できないわけではありません。しかし、銀行の金利、起債の利子が上昇する中で、損切りしてでも売るのが得かどうか、身軽に早くなりたいという答弁にもあった当局側の計算へも理解を示さざるを得ません。
入る団体もまだ正式には決まっていない、使用料、管理、駐車場の問題、利便性についても今後の課題、基本設計や実施設計もこれから、保健センターや社会福祉協議会などのあとの利用についても、これから検討していくなど、委員会のやりとりでは不確定な部分が多く、賛成するにはマイナスの要素が含まれるものもかなりありました。保健センターなどは、移転後の跡地をどのように活用するのか、まだ行政内部で検討していないなど、ほかの施策との重なり合う部分で解決していかなくてはいけない問題もあるであろうことにも考えが及びます。何が何でもその目的達成ありきではなく、ほかとの連携、整合性、つながりを持った安心できる行政運営を、組織の理論ではなく、市民にもわかりやすく、目に見える形でお願いしたいところです。
保健センター、地域包括支援センター、権利擁護センター、子育て支援センター、リハビリセンター、メンタルサポートセンター、介護予防センター等々、総合的な保健福祉サービスを提供する地域福祉の拠点施設としての場づくりと、コンシェルジュのようなよろず相談窓口の機能を創出するセンターの基本的機能の中には、文化・交流機能というものも含まれており、福祉だけではなく、文化にまで踏み込んでいるという、すばらしく壮大な構想となっていることにも触れておかなくてはなりません。
社会福祉審議会、(仮称)芦屋市福祉センター構想策定委員会等、私も傍聴してまいりましたが、委員の方からも、さまざまな意味で戸惑いの声はありました。建物を建てただけではなく、その中が実質機能していくまで、それらの人の声をつなぎながら、成熟させていく役目が行政にあることを、文字どおり、市民と行政の協働の促進ができるようになるまで忘れないで、これから継続されていく中で、担当がかわってもしっかり引き継いでいっていただきたい。芦屋市における地域福祉を、芦屋らしさを随所に盛り込みながら、皆で考えるよい契機となることを強く願って、賛成の討論といたします。