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平成21年3月議会 委員長報告
【 平成21年 3月 定例会(第1回)-03月27日-04号 】
(芦屋市HP 芦屋市議会会議録検索 より転載)
◆9番(中島かおり君) =登壇=総務常任委員会から御報告申し上げます。
本委員会は、去る3月11日(水)に開催され、付託されました請願1件を含む5つの案件について慎重に審査を行いましたので、その概要と結果を順次御報告申し上げます。
第23号議案、芦屋市個人情報保護条例の一部を改正する条例の制定について、申し上げます。
補足説明によりますと、統計法の全部改正及び統計報告調整法の廃止に伴い、関係条文を整理するため、この条例を制定しようとするものでございます。
二人の委員から質疑がありました。指定統計と基幹統計の定義と、市に直接かかわる部分についての問いには、理事者より、基幹統計もおおむね指定統計と同じ考え方であり、国勢調査、事業所企業統計調査等が指定統計とされている部分で、多くの部分が基幹統計になると思われるが、詳細は示されていないとのこと。国勢調査などの具体的な内容についての問いには、理事者より、自治会等への依頼によること。説明会等で個人情報の取り扱いについては徹底しているとの答弁がありました。
別の委員は、個人情報保護条例第42条適用除外の規定について、国からの委任を受ける調査でも、執行は芦屋市側となることを確認した上で、個人情報漏えいが起きた際の対応についてただしました。理事者より、国勢調査の調査員は、国家公務員の非常勤の職員であり、国の処分の対象となるであろうこと。芦屋市の条例の対象ではなく、統計法での守秘義務の対象となると考えること。そのような場合、法定受託事務という性質上、県を通じて手続が進められるということになるであろうとの答弁があり、委員より、事が起きる前に事前によく精査をしてわかるような形にしておく必要性が指摘されました。
第23号議案に関しては全員異議なく、原案のとおり可決すべきものと決しました。
次に、第25号議案、芦屋市職員の勤務時間その他の勤務条件に関する条例等の一部を改正する条例の制定について、申し上げます。
補足説明によりますと、国家公務員の給与及び勤務時間の改定等を参考に、一般職の職員の給与及び勤務時間を改定するため、この条例を制定しようとするものであり、改正の趣旨は、国家公務員の給与及び勤務時間の改定状況及び平成20年度の人事院勧告等を参考に、一般職の職員の給与及び勤務時間を改定するため、この条例を制定しようとするものでございます。
委員長を除くすべての委員から質疑がありました。
最初に、13.5%に引き上げる地域手当に関しての質疑の中で、人事院勧告で14%の地域に指定されていることについて、理事者より、国の給与構造改革に合わせて調整手当に変わり、物価等も勘案しつつ、主に民間賃金が高い地域に勤務する職員に対し地域手当を支給することとなったものであり、平成18年度から22年度までの5年間で15%まで引き上げるということになっているとのこと。地域間給与配分の見直しということで、給与表の水準を民間賃金水準の最も低い地域に合わせて、国が平均4.8%の引き下げを行った一方、主に民間賃金が高い地域に勤務する職員を対象に3%から18%の地域手当を新設することによって、当該地域の民間賃金を反映できるという考え方から、そのようになったものと思っているとの答弁がありました。
なぜ、今回、13%から14%ではなく13.5%と0.5%だけ引き上げたのかについての問いには、理事者より、原則、国家公務員に準拠するという考え方であるが、現在の本市の置かれている苦しい財政状況等から、14%ではなく、13.5%にさせてもらっているとのこと。0.5%引き上げると具体的には幾らになるのかとの問いには、理事者より、0.5%分引き上げの原資は全職員で約3,250万円となるとのこと。ラスパイレス指数についての問いには、理事者より、平成19年度は芦屋市99.9、平成20年度は試算値で101.3となっているとの答弁がありました。
二人目の委員からは、将来的には15%となる地域手当について、居住地は関係なく、芦屋市に勤務することのみが前提になっているのかとの問いには、理事者より、国も勤務地主義をとっているとの答弁があり、それを受けて、委員より、芦屋市の職員は市内在住率が30%を切っており、物価の高い芦屋市に住むことなく、物価の安いところに家を購入されて、多額の交通費を市からもらって、芦屋市に通われているという現状については矛盾を感じるとの強い指摘がありました。理事者より、公務員の給与制度が始まって以来、国の制度そのものが勤務地主義をとっている以上、矛盾しないとの答弁がありました。
3人目の委員は、人事院勧告を遵守しなければならない法的根拠についてただしました。理事者より、本給与決定の原則の中で、地方公務員法の第24条の3で、「職員の給与は、生計費並びに国及び他の地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与その他の事情を考慮して定めなければならない。」ということになっており、均衡の原則の実際の運用としては、国家公務員の給与に準じるということによって実現されると解されているというような通知が出ており、そういう中から、国なりの準拠ということで原則にしているという答弁があり、委員より、比較検討しなければならない民間の事業の従事者についての根拠、何をベースにしているのかをただしましたところ、理事者より、それらすべてを全部網羅したのが、いわゆる人事院勧告であり、民間企業との比較もしているとのこと。委員より、年齢構成などの違いから単純に比較できないが、500万円を切っているという県民の所得のベースをどのように考えるのか。また、人事院勧告に地方公共団体が絶対に従わなくてはならないのかとの問いには、副市長より、100%従うことはないと思うとの答弁がありました。今この大変な不況の時期に手当を上げることへの市民感情をどのように判断するのか、福祉医療費の約4,100万円など市民に負担を求めておいて、職員が手当を上げるというのはいかがなものかということについて、理事者より、給与制度全体の中で、これならば市民の合意を得られると判断しているとの答弁がありました。
ここで、修正の動議が出されました。
提出者の説明によりますと、社会情勢と芦屋市の財政難をかんがみて地域手当を修正するものであり、当局提案の地域手当を13%から13.5%に引き上げるところを13%にとどめるという内容になっており、芦屋市における財政難、今の社会情勢、また、経済情勢を見ても、市民から到底納得を得られず、この財源はほかに使うべきであるとの説明がありました。
この後、原案と修正案をあわせた質疑の中で、地域手当一人当たりの金額については、理事者より、年間3万2,000円となること、国の基準に沿って18年度から毎年引き上げていることが確認されました。
また、別の委員からの、地域手当を1%アップするべきところを0.5%のアップにしたことと、職員の反応についての問いには、理事者より、職員団体との交渉事項であり、労働組合と13.5%で合意に達していること。委員より、0.5%分3,250万円相当を施策的に廃止したものに手当てができるのではないかという提案が労使協議の中において出なかったのかとただしたところ、理事者より、そのような議論はなかった。行財政改革との絡みにおける質疑では、理事者より、給与関係については、芦屋市独自のカットについては、平成19年3月をもって終了していることが確認されました。勤務時間が短縮され、週40時間から38時間45分、一日15分短縮されることについて、1時間当たりの給与単価が上がってくることから、非正規雇用者の時給は上がらない状況の中、そのことを自覚してほしいという指摘がありました。
また、別の委員から、地域手当14%の地域についてただしましたところ、理事者より、西日本では大阪と守口と門真と芦屋市の4市であり、それぞれ独自でマイナスカットなどして是正されているように聞いていることなどが確認されました。地域手当についての質疑は続き、組合との関係については、従来どおり国の勧告に従うように、14%を当然主張してきているとの答弁があり、本来より0.5%抑えている分頑張っていると国にアピールできるのか、別の委員がただしました。理事者より、特別交付税で措置されるかはわからないが、国の制度どおりの給与を払える余裕のある芦屋市に対して、財政支援する必要が果たしてあるのか。人事院勧告どおりの給与が払えない自治体の方に支援しますという国のスタンスも考えられるとの答弁がありました。それに対して、職員給与の手当は従来どおりとすべきで、例えば入札契約制度の厳格化などの知恵と工夫で節減していくべきとの指摘がありました。
また、委員は、通勤手当について質疑の中で、交通手段の選択肢についてただしましたところ、1.5キロ以上であれば自転車で通勤が可能なこと。通勤手当という考え方が導入された当時は、もともと自動車がなく、自転車から原付自転車等にだんだん波及したことが確認されました。
教員の特殊業務手当の引き上げについての問いには、県では昨年10月から実施されており、それに準じて20%から100%まで引き上げる内容であること。
非常災害時における重大な災害が発生し、または発生するおそれがあると任命権者が指定した場合、特に幼稚園の教諭と市費の小中学校の教員が対象であり、現状では特殊業務手当の実績はないという答弁がありました。
以上の質疑の後、討論では、修正案に反対、原案に賛成の委員からは、今回は14%にすべきところを13.5%でも組合が辛抱してくれたことを評価する。
別の委員からは、人事院勧告制度を法のもとに守ることが大前提となるべきで、普通会計職員200人の削減を目標としている中で労働力の対価としての補償が必要であり、本来の14%であるべきところを13.5%にとどめたことに対して原案に賛成をしておくという意見がありました。
修正案に賛成の立場の委員からは、人事院勧告は法に基づくものではなく、また、100年に一度の不景気の今、芦屋市の財政状況を見ても、一方で市民の負担を増やしながら、職員の手当を上げるということは、市民目線から見たとき、時期もタイミングも悪い。別の委員からは、勤務地主義には納得がいかない部分もあり、今回地域手当を引き下げている自治体もある中、芦屋市が地域手当を引き上げることには賛成できないとの意見がありました。
以上の審査の後、採決の結果、本案については賛成多数で、お手元にお配りしました委員会修正資料のとおり原案を修正の上、可決すべきものと決しました。
次に、第26号議案、芦屋市職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例の制定について、申し上げます。
補足説明によりますと、平成19年8月1日に地方公務員の育児休業等に関する法律が改正され施行されており、この法律に定める育児短時間勤務を実施するため、この条例を制定しようとするものであります。
複数の委員から、質疑がありました。
最初に、給料月額についての問いには、理事者より、働く時間に応じた給料になり、勤務しない分は減額になること。委員より、非正規職員について対象とならないことへの問いには、理事者より、もともと短期間での勤務であり、臨時的任用職員については、6カ月での更新、1年間のみの任用ということであること。
別の委員は、手続を含めた具体的な内容についてただしました。理事者より、最長は1年間で、その後1年ごとの申請が必要となること。対象となる子が0歳から6歳まで、この勤務が可能であること。あらかじめ、自分の希望する勤務時間帯を申請すること。人事異動の対象にはなること。臨時的任用職員の配置で補っていくことになるであろうこと。やはり、職場の理解と職場環境、本人の自覚も当然必要であり、双方の相互理解が必要不可欠であることの答弁がありました。
第26号議案に関しては全員異議なく、原案のとおり可決すべきものと決しました。
次に、第27号議案、芦屋市債権管理に関する条例の制定について、申し上げます。
このたび、委員会審査に当たり、議案書等に示されていなかった規則案の提出について、以前に議会から指摘したとおり、今後は条例制定の際には規則案も議案説明資料として議会に示すことを双方で確認し、今回は審査することを委員会として了承しました。
補足説明によりますと、芦屋市が有する債権について適正な管理を行うため、この条例を制定しようとするものでございます。
この条例のメリットとデメリットについての質疑においては、理事者より、議決事項の対象であるが、この条例により必要がなくなり、行方不明、破産免責の要件に当たる債権など回収不可能な債権を不納欠損できるようになり、特にデメリットはないとの答弁がありました。
別の委員は、私債権及び時効の援用についてただしました。公債権は基本的に5年間たてば自動的に消滅するが、私債権は時効の援用、つまり、相手方債務者から時効の主張がないと消滅しないこと。一部納付の場合は、いわゆる時効の中断となること。公債権と私債権とあわせた一元管理は、情報共有化の点で問題があると考えていること。また、債権管理台帳や徴収計画については、今までのものに改良を加えながらやっていくであろうこと。所管によって温度差があることから、もっと工夫をしてもらえるようにしていきたいと考えていること。委員より、国民健康保険料や市営住宅の使用料など滞納を複数抱えている場合はどのようになっているのかとの問いには、理事者より、住宅については、生活の本拠であるということから、優先的に支払われているとの答弁があり、委員より、滞納の場合、収入とか借金なども含めて、生活実態の把握が大きく徴収に影響し、また、所管によるレベルアップもしていってほしいとの指摘がありました。
また、別の委員からは、名寄せも含めて徴収には工夫をするようにとの要望がありました。
また、この条例によって、債権の一元化、共同化が芦屋市の中で進むことを期待する声もあり、理事者より、この条例のメーンは権利放棄であること。自治法の施行令にあるものを引き写すことなどをしていないために、シンプルな条例になっていること。債務者が生活保護者になったとしても、少額でも返済すべきであり、権利放棄することは行き過ぎであること。公会計制度改革により適正な資産把握のためにもこの条例が必要であること。市営住宅の滞納については、公債権である、あるいは賃料債権との二通りの考えがあるが、いずれも時効は5年であり、この条例によって芦屋市ではどの解釈に立ったとしても扱いは変わらないであろうこと。時効が経過しても、時効の援用がないために滞納繰越を繰り返していくのではなく、資産把握、債権の把握により徴収の努力はしていくこと。対象となる債権の金額は定める必要がないと考えていること。私債権も含めるのは難しいが、芦屋市だけで回収できる債権の一元化は可能であること。手続など進め方には所管と詰める部分がまだ残っていることなどの答弁がありました。
別の委員からは、連帯保証人は債務者と同格であり、直接請求できることを各課へ周知徹底するよう指摘がありました。
以上、審査の結果、第27号議案に関しては全員異議なく、原案のとおり可決すべきものと決しました。
最後に、請願第22号、米軍への思いやり予算廃止の意見書採択を求める請願について、申し上げます。
冒頭、紹介議員より、思いやり予算として米軍に31年間払い続け、その累計は5兆3,711億円となっており、削減されている社会保障に充ててほしいという思いであること。2008年4月の参議院で米軍駐留費の特別協定が否決されたのは、戦後の憲法史上、初めての出来事であり、この協定も既に21年間続いており、国民の大きな批判が高まっていることなどから、米軍への政府の思いやり予算を廃止してほしいという請願者の願いを酌んでほしいという補足説明がありました。
質疑において、在日米軍の駐留経費の内容についての問いには、紹介議員より、日本の防衛予算、軍事費には、自衛隊の増強のための予算と在日の米軍駐留経費の大きく二つが考えられるが、そのほかにも第2の思いやり予算と言われるものもあり、すべてを含めて思いやり予算と言えると思うこと。日本全土にあるすべての基地の経費は日本の税金で使われているとの説明がありました。
また、委員より、日米安保そのものには国民の一定の理解があるように考えているが、日本の防衛を考えたときに、在留米軍や日米安保の必要性をどのように認識しているのかただしましたところ、紹介議員より、請願の中身とはかけ離れた質問なので戸惑うが、軍備拡大という立場はとりたくないと思うとの答えがありました。委員より、請願の趣旨にもあるような、31年間、毎年2,200億円の社会保障費が削減されていると書かれているが、そのような現状は理解しがたいとの声がありました。
質疑の後、討論では、本請願に反対の立場の委員からは、外交と国防については、地方自治法第99条による議会が意見書を出せる限界と解釈することにより、反対すること。別の委員からは、思いやり予算がむだな支出であると断定できないとの意見がありました。一方、本請願に賛成の立場の委員からは、思いやるところを間違っている。ドイツも米軍を多く受け入れているが、日本は予算にしてその111倍であり、米軍基地のキャバレーのボーイさんの蝶ネクタイまで日本国民の税金が投入されているのは許されない。また、別の委員からは、日米地位協定に基づくということを足がかりとした特定協定であり、覚書的な協定であり、支出の根拠の危うさもある。米軍に対して援助をすることへの正当性がないと考えるため、この請願には賛成をするとの意見がありました。
以上の審査の後、採決の結果、請願第22号は賛成少数で、不採択にすべきものと決しました。
以上で総務常任委員長の報告を終わります。